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書評 『プラトン入門』R.S.ブラック

プラトンはこの世界に神の目的や計画が存在することに確信を抱いていて、プラトン哲学は目的論を信条としている、という内容の序論からこの本は始まる。

前半でプラトンの生涯をたどり後半に著作の解説をする構成だ。

最近に書かれた本でもないし翻訳されたものだし、読みやすいとは思っていなかったのだが、後半に入ってある難しさが加わる。

その難しさとはプラトン著作の解説があまりにも肉を削った概説であることだ。

この概説を理解するには解説の対象となっている著作を読んでいることが条件となっている、と言いたくなるほどだ。

むろんこの本はプラトン入門なのだし、そんなことが前提条件になっているとは書いてない。

しかし自分が読んだことのあるプラトン著作について解説してある部分を読んだときと、読んだことのない著作についての部分とを読んだときとで全く理解できるレベルが違う。

正直、読んだことのない著作の箇所はほとんど頭に入ってこないのだ。

それってプラトン入門という題名としてどうなのだろうと思ってしまった。

この本は今に伝わっているプラトンの対話編で真作とされているもの全てについてそれぞれ解説されているが、解説するのを代表的な著作だけに絞った方がよかったのではないだろうか。

数を絞るかわりに、紹介する内容を詳しく書いてもらった方がわかりやすくなったと思う。

それでもプラトンの生涯については詳しく書いてあったし、ところどころ写真が載っている点も確かに入門向きで興味深かった。

最後にこの本に載っていたプラトンの素敵な言葉を紹介しよう。

「われわれがこの世に生を享けたのは自分一人のためではありません。われわれの祖国や両親や知友たちが、またわれわれの生に与えられた境遇が、われわれを呼び求めているのです」プラトン『第九書簡』

 

プラトン入門 (岩波文庫)

プラトン入門 (岩波文庫)